親子関係は人生において最も深く影響を与えるものの一つであり、幸福感や安定感の源となることが期待されます。しかし、中には「毒親」と呼ばれる、子どもに対して否定的な影響を与える親も存在します。
前回の記事では、毒親の特徴について探求しましたが、今回はその延長線上にある重要なテーマ、「毒親との上手なかかわり方」に焦点を当てていきます。
毒親との関わり方には様々なアプローチがありますが、この記事では基本原則から感情の処理、効果的なコミュニケーションの構築、サポートの求め方、そして最終的な断絶や和解の選択肢に至るまで、実践的なアドバイスまで提案していきます。毒親との関係があなたにどのような影響を及ぼしているかを理解し、健康的な関係を築くための手段を見つける一助となれば幸いです。
それでは、一緒に毒親との向き合い方を探っていきましょう。
前回のブログ記事はこちらから↓
目次
毒親とは?
親子関係は愛とサポートに満ちたものであるべきですが、時折、独自の困難が存在します。その中でも、毒親と呼ばれる親が子供に及ぼす影響は深刻です。毒親に縛られた鎖を断ち切るためには、相手を理解することが重要です。
まずは、「毒親」の特徴と子どもに与える影響についてのおさらいです。
毒親の特徴
毒親は、以下のような特徴を持ちます。
- 過干渉、過保護、または逆に冷淡な態度を示す
- 制御欲が強く、子供の自己表現や自己決定を妨げる
- 子供に対して暴力的、脅迫的、侮辱的な言動をする
これらの特徴は、子供の心理的な発達や社会的な適応に悪影響を及ぼします。
子どもに及ぼす影響
毒親との関わりが子どもに与える影響は広範であり、以下のようなものがあります。
- 低い自己価値感や自己効力感を持つ
- 不安や抑うつなどのネガティブな感情を抱く
- 人間関係や学業などに対して消極的になる
- 自分の感情やニーズを無視する
これらの影響は、子どもの将来の人生にも影響を及ぼします。
成長後にも影響を与え続ける毒親
毒親から育てられた子どもが大人になる過程は、さまざまな困難に満ちています。これらの困難は、過去の毒親との関わりが今なお影響を与えていることを示唆しています。
自己認識と自己価値感の課題
毒親の制約や否定的な影響により、自分を理解し、受け入れることが難しい状況が生まれます。自分に対する自己評価が低くなりがちで、他者との関係にも影響を及ぼします。
対人関係の難しさ
毒親から受けたトラウマや信頼の欠如は、他者との関係構築に影響を与える可能性があります。信頼することや他者とのコミュニケーションに苦労することがあります。
責任感の過剰と自己犠牲
毒親の影響下で育った者は、他者の期待に応えようとする傾向があります。これが過剰な責任感や自己犠牲につながり、自分自身の幸福を犠牲にする可能性があります。
心理的な健康の影響
抑うつや不安、ストレスなどの心理的な健康への影響が残ることがあります。過去の毒親との関わりが、心の健康に悪影響を及ぼすリスクがあります。
上記のことを踏まえた上で、ではどうやって毒親とかかわっていけるか、考えていきましょう。
毒親と上手くかかわる基本原則
自分の親である以上、簡単に関係を解消することは難しいですよね。
ですが、あきらめないでください。
できることを知れば、親と上手にかかわっていくことは可能です。
そのための心得として、基本的な原則を理解することが重要です。
健康的なかかわり方の基本原則とは以下の3つです。
1)自己保護の重要性
毒親との関係において、自分を守ることが最も大切です。感情的なストレスを減らし、精神的な平穏を保つためには、自分の境界を明確にし、守ることが必要です。
2)コミュニケーションの工夫
毒親とのコミュニケーションは慎重に行う必要があります。コミュニケーションを上手にすることは、対話をスムーズにし、対立を避けるために役立ちます。
3)心の距離を保つ
毒親との関係においては、適度な心の距離を保つことが重要です。感情的な距離を保ちつつも、リスペクトと理解を持った関係を築く方法を探る必要があります。心の距離を適切に調整することで、自分自身の安全と幸福を守りながらも、毒親とのつながりを維持するちょうどよいバランスを見つけることが大切です。
感情コントロールで毒親対策
毒親と上手くかかわる為の3つの基本原則を理解した上で、次は具体的な対策を見ていきましょう。
まずは、感情の処理とコントロールについてです。
毒親との関係において、感情の処理とコントロールはとても重要です。毒親は、自分の感情を子どもに押し付けたり、子どもの感情を無視したり、否定したりします 。そのため、子どもは自分の感情を表現することができなかったり、自分の感情を信じることができなかったりします 。また、毒親の感情に振り回されたり、感染したりすることもあります 。これらのことは、子どもの心の健康に悪影響を及ぼします 。
感情の処理とコントロールをするためには、以下の2つのステップが必要です。
自分の感情を理解する
自分の感情を理解するということは、自分が何を感じているか、なぜ感じているか、どう感じているかを知ることです 。
このステップを実践し、自分の感情を理解することで、自分の感情に対して責任を持つことができます 。これは自分の感情は自分のものであるということを認識する助けとなり、結果として自分の選択や行動に影響を与えます 。
自分の感情を理解する方法は無数にありますが、ここでは以下の方法を説明しています。
- 感情日記をつける
自分が感じた感情やその原因、強さ、持続時間、影響などを記録することで、自分の感情のパターンやトリガーを把握することができます 。
- 感情のラベルをつける
自分が感じた感情に名前をつけることで、自分の感情を認識しやすくなります 。感情のラベルは、基本的な感情(喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪、驚き)だけでなく、より細かい感情(幸せ、憂鬱、憤り、不安、嫌気、興奮)なども含めるとより効果的です 。
- 感情の理由を探る
自分が感じた感情の背景にある思考や信念、価値観、ニーズ、欲求などを探ることで、自分の感情の根源を理解することができます 。感情の理由を探るときには、自分に対して優しく、正直に、好奇心を持って問いかけることが大切です 。
毒親の感情に巻き込まれない
2つめのステップは毒親の感情に巻き込まれないことを意識するステップです。
毒親の感情に巻き込まれないとは、相手の感情に自分の感情や行動を左右されないことを意味します。
自分の感情や行動は自分のものであり、自分の選択や判断に基づいています 。毒親の感情に巻き込まれないことで、自分の感情や行動に対して自由度を持つことができます 。
具体的な方法として、以下のような意識が有効です。
- 毒親の感情と自分の感情を区別する
毒親の感情は相手のものであり、自分の感情は自分のものであることを意識することです 。毒親の感情に同調したり、反発したりするのではなく、自分の感情に注目したり、表現したりすることです 。
- 毒親の感情に反応しない
毒親の感情は、自分を操作したり、罪悪感を与えたり、批判したりするための手段であることを理解することです 。相手の感情に反応すると、毒親の思うつぼにはまることになります 。感情に反応しないためには、冷静になったり、距離を置いたり、話題を変えたり、無視したりすることが有効です 。
- 毒親の感情に影響されない
毒親の感情は、自分の感情や行動に影響を与える力を持っていないことを認識することです 。相手の感情に影響されないためには、自分の感情や行動に対して自信を持ったり、肯定したり、誇りに思ったりすることが大切です 。
効果的なコミュニケーションで毒親とかかわる
毒親との関係において、効果的なコミュニケーションの構築はとても重要です。
毒親は、自分の意見や感情を押し付けたり、子どもの意見や感情を聞かなかったり、否定したりします 。そのため、子どもは自分の意見や感情を伝えることができなかったり、親との対話にストレスや恐怖を感じたりします 。
また、毒親は、子どもに対して批判的や攻撃的な反応をして子どもの成長や自立を妨げたりします 。これらのことは、子どもの自己肯定感や自尊心に悪影響を及ぼします 。
この悪循環から抜け出すためには、毒親とのかかわり方を見直す必要があります。
効果的なコミュニケーションの構築は以下の方法で実現できます。
限定されたトピックを念頭に
毒親との対話では、特定のトピックに焦点を当てることが重要です。無理な議論や感情的な対立を避け、話題を限定することで、より円滑なコミュニケーションが可能となります。
その際、以下の3つのポイントを意識してコミュニケーションを図ってみましょう。
- 関心事の共有
共通の関心事や中立的なトピックを選び、そこから対話を始めることで、感情的な衝突を回避できます。
- 目標の設定
対話の目的をはっきりさせ、トピックを限定することで、無駄な議論や感情的な爆発を防ぐことができます。
- 対話の頻度や時間を決める
毒親との対話は、必要最低限にすることが望ましいです 。また、その時間は、自分が快適に感じる範囲内に設定することが大切です 。
フィードバックを正しく取り扱う
フィードバックの取り扱いとは、毒親からのフィードバック(意見や反応)をどのように受け止めるか、また、自分からのフィードバック(意見や気持ち)をどのように伝えるかを決めることを意味します。
フィードバックを適切に受け止めたり伝えることは、コミュニケーションの質を向上させます。しかし、その際には注意が必要です。
以下の点を注意しながら、新しいコミュニケーションを構築してみましょう。
- 毒親からのフィードバック(意見や反応)を受け止める方法を決める
毒親からのフィードバックは、あなたの価値や能力を測るものではありません 。彼ら自身の感情や思考や信念に基づいているだけ。あなたにとって有益か無益からの基準を設けましょう。
そして、無益であれば、無視する・拒否する・反論する・訂正する・補足する・謝る・感謝するなどの方法を選ぶことを考えましょう。
- 自分からのフィードバック(意見や気持ち)を伝える方法を決める
あなたからのフィードバックは、自分の感情やニーズや欲求を伝えるものであることを意識しましょう 。そして、その欲求に対して責任を持つことです 。
あなたからのフィードバックを伝える際には、具体的な行動や状況を挙げることで、誤解や混乱を避けることができます。
そして、伝え方のコツとして、あなたからのフィードバックでは、「私は~」という形で伝えること、親に対して要求や依頼は「あなたに~してほしい」や「あなたは~しないでほしい」などの形で伝えると、誤解なく明確に伝わるはずです。
賢いコミュニケーションのスキルを身につける
賢いコミュニケーションのスキルとは、親との対話において、自分の感情や要求を伝えるとともに、毒親である親の感情や要求を理解することを意味します 。
このスキルを磨くと、毒親との関わり方においてより良い結果を生むことが可能になるでしょう。積極的なリスニングや適切な表現方法、冷静な態度など、賢いコミュニケーションの要素を理解し実践しましょう。
- アサーション(自己主張)のスキルを身につける
アサーションとは、自分の感情や欲求を適切に伝える手法です。
大切なことは、自分の感情や欲求をしっかり理解して明確にしたうえで、具体的に相手に伝えることです。その際、優しい口調や態度で伝えることで、親からの尊重や協力を求めやすくなります。
- 積極的なリスニングスキルを身につける
積極的なリスニングとは、相手の話を注意深く聞き、相手の立場を深く理解し、しっかり共感し、肯定的な気持ちでフィードバック(意見や気持ちを伝える)することです。
積極的なリスニングをすることで、毒親に対して自分の関心や尊重を示すとともに、相手の感情や欲求を把握することができます
- 非言語のコミュニケーション
非言語のコミュニケーションとは、言葉以外の方法で相手にメッセージを伝えることです。表情や目線やジェスチャーや姿勢や声のトーンやスピードなどを調節しながら対話ができるようになると、より毒親にあなたの感情や想いの真意が伝わりやすくなります。
- 冷静な態度を保つ
感情が高ぶった時でも冷静な態度を保ち、理性的なコミュニケーションを心掛けることで、対話が建設的なものになります。
毒親と上手くかかわる距離感
毒親との関係において、最も難しい問題の一つが、距離感です。
毒親との関係を続けることに耐えられないと感じる人もいれば、毒親との関係を修復したいと願う人もいます。しかし、どちらの選択も簡単ではありません。距離感を考える際には以下の三つのポイントを考える必要があります。
断絶の決断
断絶の決断をすることで、毒親からのストレスや苦痛から解放され、自分の人生を自分のものにすることができます 。具体的な断絶方法を知っておくことは大切です。
- 毒親に対して断絶の理由や意思を伝える
親に対して自分がなぜ断絶をするのか、どうして断絶をするしかないのかを説明することです 。毒親に対して自分の感情や欲求を伝えることです 。毒親に対して自分の決断は変わらないことを伝えることが大切です 。
- 毒親との連絡手段を断つ
毒親との電話やメールやSNSなどの連絡手段をすべて断つことです 。毒親からの連絡を受けないように無視するか、拒否するか、削除するか、ブロックするかなどの方法を選ぶことです 。
- 毒親との関係を断つ
毒親との面会や会話や贈り物などの関係をすべて断つことです 。毒親との関係を維持する必要や義務がないことを認識することです 。毒親との関係を断つことで自分にとって有益な関係を築くことができる可能性を理解しましょう。
和解の可能性
和解の可能性ということは、毒親との関係を改善することです 。
和解の可能性を探ることで、毒親との関係に対する希望や満足を得ることができ、自分と親の関係をより良いものにすることができます 。
和解の可能性を探る方法としては、以下のようなものがあります 。
- 毒親の変化を見る
毒親が自分の問題に気づいたり、自分の行動を反省したり、自分の態度を改善したりすることがあるかどうかを見ることです 。自分に対して謝罪したり、理解したり、尊重したりすることがあるかどうかを観察してみましょう。
- 毒親との対話を試みる
毒親との対話を通して、自分と毒親の関係について話し合うことです 。毒親との対話では、お互いの感情や要求や欲求を冷静に伝えることが大切です 。
- 毒親との関係を修復する
毒親との関係を修復するためには、自分と毒親の間に信頼や理解や協力を築くことが必要になってきます 。関係を修復するために、自分と親の間に尊重や愛情や感謝を示すことが大切です。
自分の幸福を優先する視点
これまで親との関係に視点を置いてきましたが、一番大切なことは、あなた自身に目を向けることです。
つまり、あなたの人生において、『自分の幸せ』を最も大切にするための方法を模索する必要があります。自分の幸福を追求すれば、あなたの人生に対する責任や自由度を持つことができるようになります。
自分の幸福を優先する視点を持つ方法としては、以下のようなものがあります 。
- 自分の幸福の基準を決める
自分が幸せだと感じることや条件や目標を自分で決めましょう。自分の幸福の基準は、他人や社会や毒親の影響を受けないものにすることが大切です 。
- 自分の幸福のために行動する
自分が幸せだと感じることや条件や目標に向かって、自分で行動することです 。自分の幸福のために行動することで、自分の人生に対する満足度や充実感を高めることができます 。
- 自分の幸福を楽しむ
自分が幸せだと感じることや条件や目標を達成したときに、自分で存分に楽しむことです 。自分の幸福を楽しむことで、自分の人生に対する感謝や喜びを感じることができます 。
毒親と上手くかかわる為のサポート
毒親との関係において、サポートを求めることはとても重要です。
毒親との関係は、あなたの心の健康や幸福に悪影響を及ぼすことがあります。問題解決の糸口を見つけるには、あなたが一人で悩み考える方法だけでなく、多くの人が共感や理解をし、助けを提供してくれることがあります。
サポートを求めることで、あなたの心の負担を軽減するとともに、自分の心の回復や成長を促進することができます。
サポートを求める方法としては、以下の三つの方法があります。
心理的なサポート
- カウンセリングやセラピストの利用
専門のカウンセラーやセラピストとのセッションを通じて、感情や経験を共有し、効果的なカウンセリングを受けることができます。個別の課題に焦点を当て、健康な心の状態を促進します。
- 友人や家族とのコミュニケーション
身近な友人や家族とのコミュニケーションも重要です。信頼できる人々に感情を打ち明け、理解や支援を得ることで、孤独感やストレスを軽減できます。
グループセラピーへの参加
- 共感と理解の共有
グループセラピーは他者との共感と理解を得られる場です。同じような経験を共有することで、孤立感を減少させ、新しい視点やコピングスキルを学ぶことができます。
- 集団力学の効果
グループ内での相互作用により、自己認識が深まり、集団力学が発生します。他者の経験から得た洞察は、毒親との関わりにおいて有益な指針となります。
専門家の助言を得る重要性
- 法的なアドバイスの重要性
毒親との関係が法的な問題を引き起こす場合、弁護士や法的な専門家のアドバイスが必要です。法的権利や対処法についての知識を得ることで、自分の権利を保護し、適切な行動を取ることができます。
まとめ
ここまで読んでくださりありがとうございます。
いかがでしたか?
この記事では、毒親との関係に悩むあなたに、自分の人生や幸せを取り戻す方法をお伝えしました。
あなたは、毒親との関係によって、自分の人生を制限される必要はありません。
自分の人生を変えることも、自分のものにすることもできます。
自分の幸せを追求することは、あなたの権利であり、義務であり、価値です。
あなたの幸せは、あなた自身が決めて作って楽しむものです。
毒親との関係において、あなたは一人ではなく、孤独でも、無力でもありません。
もし、あたたが本気で状況を変えたいと思われているなら、ぜひこの記事に書いた事を実践してみてください。
できることから一つずつ実践していくことで、あなたは幸せ近づくはずです。
最後に
この記事を読まれて、今すぐ誰かに相談したいと感じられた方は、お試しカウンセリングをご検討ください。
カウンセリングルーム「さいしょのいっぽ」では安価な価格で気軽にカウンセリングを体験していただけます。
お申込みは下のボタンをクリックしてください。